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| ホーム > 健康アドバイス > 「大山崎町・Aさんご夫婦の話」 |
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梅山 信
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Aさんご夫婦は、ともに東北地方出身で、結婚後50年間大山崎町に住まれておりました。
お子さんはおらず、親戚もなく、近所付き合いは、ほどほどに、ひっそりと暮らされておりました。奥様は、高度の認知症を患っており、生活の全てを夫に委ねられておりました。
また、初診時のご主人の身体も既に膀胱癌と言う病に侵されており、癌は肺やリンパ節に転移し、通院も自宅での生活も難しくなっておりました。
ご主人は外来で開口一番、“わしは家で死にたいんじゃ。女房と死ぬまで一緒にいたいんじゃ。なんとかしてくれんか…”と言われ何のことやら唐突にと、私は面食らったのを覚えております。しかし、これには訳があったのです。ご主人が入院を希望しても、認知症のある奥様は一緒に入院することができないのです。また、ご主人が入院しても、認知症のある奥様が、一人で見舞いに来れるはずもなく、実質、入院=“奥様との今生の別れ”を意味していたのです。
介護するべき立場のご主人が倒れ、相談相手もなく、ただ、ただ、ご主人は奥様のことが気がかりで、“在宅死”を思いつかれたのでしょう。(老健施設や病院は、癌の末期は‥とか高度の認知症の方を一般病棟に入院させるなんて無理‥とのことでした。)
ご主人の強い意志のもと、私の知る最も優秀な、介護支援専門員・訪問看護師・訪問ヘルパーらの協力で、約1カ月後の寒い冬の夜、ご主人は希望通り、ご自宅で安らかに亡くなられました。
その時、亡骸の横には、いつもの様にニコニコと微笑を浮べた奥様が(ご主人が亡くなったことも分らず)座られておりました。私は“○○さん。あなたは何を私に望んでいたのでしょう?これでよかったのですか?私にできたことはこの程度です。本当にこれでよかったのですか?”と、明け方まで、ご遺体と過ごし、自問自答していました。
国は、2008年から75歳以上の方に後期高齢者医療制度として、“在宅療養支援プラン”を導入すると言います。本当に額面どおり、受け取って良いのでしょうか?
私は、在宅医療の推進者の端くれのつもりですが、医療費削減のための在宅医療には反対です。(一般的に、在宅での医療費は病院入院時の医療費の1/3〜1/2と言われ、財政難の御旗のもと、ここ数年、突然、急に、厚労省は在宅!在宅!と叫び、医療制度を改変してきました。)Aさんご夫婦が安心して最期を過ごせるような医療制度(入院・入所・在宅をご夫婦で安心して選べる制度)こそ、国民は真に望んでいるのではないでしょうか?
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(ミニミニおとくに平成19年3月より)
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