地域連携クリティカルパスで医療機関の継ぎ目のない移行を実現

現在の医療は専門分化が進んでいるため、1つの医療機関で患者の治療が全て終わらないケースが増えてきています。そこで重要な働きをするのが、大病院やクリニック、介護施設、市町村などから担当者が集まり、1人の患者に対して作る診療計画表「地域連携クリティカルパス」です。

患者が脳卒中で倒れた場合、最初に搬送されるのは急性期治療を行う脳神経外科・脳卒中センターなどを擁した大型病院です。容態が安定した後は半身麻痺や言語障害からの回復を目的にリハビリ専門の施設へ移ることになります。

またリハビリ施設への通院だけでなく、在宅介護が必要な場合には自治体の福祉部門の支援が必要となります。このような複数の医療機関や介護施設などの診療をシームレスに実現するのが、地域連携クリティカルパスです。

地域連携クリティカルパスには治療期間ごとに具体的な目標が設定されています。例えば、急性期〜4週間は「状態が安定し、リハビリができる」、回復期入院日〜退院は「介助がついて、歩行・トイレができる」などでです。

地域連携クリティカルパスは、医療スタッフや自治体の担当者の情報共有が大切なので、それぞれの医療機関や施設で行った治療や検査内容が記載されています。どのような項目をクリティカルパスに追加し、病院や診療所、訪問看護ステーションなどがどう連携するかも検討を行います。

多くの場合、地域の基幹病院として役割のある地域医療支援病院が全体をコーディネートする役割となり、地域連携クリティカルパスの作成や調整、管理を行っています。システムの構築には時間と労力が必要となりますが、2006年の診療報酬改定で、地域連携クリティカルパスの点数化が認められ、診療報酬がついたことが普及の足がかりとなりました。

2006年に大腿骨頚部骨折、2008年に脳卒中、2010年にがんと診療報酬の対象が広がり、地域連携クリティカルパスの重要性は高まりをみせています。しかし、大学病院など日々の業務が多忙を極め、クリニックや介護施設などの情報を細かく把握できないなどの理由で連携が上手く行っていないところもあり、そのあたりは今後の課題といえるでしょう。

Copyright(C) 2014 otokuni-med.net All Rights Reserved.