財政バランス健全化のため診療報酬の厳しい抑制政策が続き、医療機関の経営が悪化

勤務医が直面している過酷な労働環境が医師不足に拍車をかけている一方、医師の増加は医療費の増大につながるとする考えのもと、国は医師数の養成数を低く抑え続けてきました。

欧米諸国の医師数はGDPや医療技術の進歩に合わせて増えており、人口1,000人あたりの医師数で比較してみると、欧米の欧米諸国が加盟するOECDの平均が3.2人で日本が2.2人と大きな差があります。逆に病床数では日本が多いことからも日本の医師や看護師の負担が大きいことがわかります。

深刻な医師不足を解決すべく国はようやく医学部定員の大幅な増加へと舵を切りましたが、1人前の医師を育成するには最低でも10年が必要とされており、また医師が増えても負担の多い外科、小児科、産科を避ける傾向(診療科の偏在)があるため、まだまだ医師不足の状態は続くでしょう。

また国は診療報酬に対しても厳しい抑制策をとっています。診療報酬改定は2年に1回行われますが、医療構造改革を掲げた小泉内閣では薬価込みの実質改定額でマイナスが続き、プラスに転じた民主党政権でも、過去の抑制額を補うには至っていません。

診療報酬の過度な抑制は医療機関の収益悪化につながり、医師・看護師の待遇改善に必要な予算が圧迫されることになります。その結果、疲弊した医師や看護師は退職を余儀なくされ、質の硬い医療の提供が難しくなった医療機関の収益は益々悪くなるという悪循環に陥ります。経営を維持できず、破綻する地方の病院や中小の病院も相次いでいます。

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